「運賃」に関する記事
奈良交通とエヌシーバスは8月25日、乗合バス運賃の上限変更認可を国土交通省に申請した。認可されれば、2024年2月1日から実施する。
初乗り運賃は190円から220円に、奈良・平城均一区間は220円から250円に改定する。その他の区間も距離に応じて30円~800円引き上げる。
一方、通学定期券の割引率を拡大するほか(41.5%→43.5%)、ICカード乗車券「CI-CA」のプレミア率は据え置く(普通5%、ひまわり15%)。
奈良交通は厳しい事業環境のなか、バスの利便性向上や路線網維持に努めてきた。しかし、沿線人口の減少や少子高齢化、新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化などで乗客が減少している。
加えて運転者の不足が顕在化しており、待遇の改善による定着促進が急務となっている。近年は車両の代替を抑えていたことから、今後はバリアフリー対応、環境対応車両への計画的な代替も必要となる。
燃料など物価の高騰もあり、費用の増加を経営努力だけで吸収することは困難であるとして、運賃改定を申請した。消費税率引き上げに伴うものを除くと、2009年12月以来約14年ぶりの改定となる。
情報源:奈良交通ホームページ、
「乗合バス運賃の上限変更認可申請について」(奈良交通・2023年8月25日)(PDFファイル)、
日本経済新聞電子版「奈良交通、バス運賃引き上げを申請 24年2月に平均14%」(2023年8月25日)、
NHK「奈良交通 来年2月からバスの運賃値上げへ」(2023年8月25日)、
奈良テレビ「奈良交通 路線バスの運賃値上げへ 国交省に申請」(2023年8月25日)
奈良交通をはじめとする事業会社5社は、市内循環線で「Visaタッチ決済」の実証実験を行う。
「Visaタッチ決済」は、対応するカード等を決済機器にタッチするだけで支払いができる。
バスが「Visaタッチ決済」に対応すると、手持ちのクレジットカードやスマートフォン等を使って、キャッシュレスで乗車できるようになる。特に外国からの観光客にとって利点が大きい。
実証実験の詳細は下記のとおり。
- 実施期間:2023年4月10日から2年間(予定)
- 対象路線:市内循環内回り・外回り(JR奈良駅-高畑町-近鉄奈良駅-JR奈良駅)
- 機器設置車両:12台(市内循環専用車8台、予備車4台)
車両に「Visaタッチ決済」の決済機器が設置されていても、市内循環線以外の路線では利用できない。
情報源:奈良交通ホームページ
奈良交通は障害者手帳の呈示で割引運賃を適用しているが、6月1日からスマートフォン向け障害者手帳アプリ「ミライロID」の呈示でも割引運賃を適用する。
情報源:奈良交通ホームページ
奈良交通とエヌシーバスは、6月1日からICカード「CI-CA」の利用可能金額と定期券の発売額を改定する。あわせて、紙で発行している回数券の発売を終了する。
2014年以降の運賃改定では、普通運賃を引き上げる一方で、運賃収入の増加が消費税率の改定幅を超えないようにCI-CAと定期券の割引率を拡大していた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の広がりなどの理由から昨年以降バスの利用が減少しており、運行を維持するためやむなく割引率を縮小する。
CI-CAの利用可能金額引き下げ
CI-CAの発売金額・チャージ金額に対する利用可能金額を引き下げる。
普通CI-CAの利用可能金額は下記のとおり改定する。
発売額・ チャージ金額 | 利用可能金額 (現行) | 利用可能金額 (改定) |
---|
1,000円 | 1,170円 | 1,050円 |
2,000円 | 2,340円 | 2,100円 |
3,000円 | 3,510円 | 3,150円 |
5,000円 | 5,850円 | 5,250円 |
普通CI-CAの利用可能額改定(2021年6月1日)
ひまわりCI-CAの利用可能金額は下記のとおり改定する。
発売額・ チャージ金額 | 利用可能金額 (現行) | 利用可能金額 (改定) |
---|
1,000円 | 1,220円 | 1,150円 |
2,000円 | 2,440円 | 2,300円 |
3,000円 | 3,660円 | 3,450円 |
ひまわりCI-CAの利用可能額改定(2021年6月1日)
通勤・通学(学生)定期券の発売額引き上げ
定期券の発売額を引き上げる。
運賃 | 通勤1か月 (現行) | 通勤1か月 (改定) | 通学1か月 (現行) | 通学1か月 (改定) |
---|
奈良均一 平城均一 | 9,260円 | 9,900円 | 7,020円 | 7,370円 |
190円 | 8,380円 | 8,550円 | 6,670円 | 6,670円 |
210円 | 8,820円 | 9,450円 | 7,020円 | 7,370円 |
220円 | 9,260円 | 9,900円 | 7,370円 | 7,720円 |
230円 | 9,700円 | 10,350円 | 7,720円 | 8,070円 |
240円 | 10,140円 | 10,800円 | 8,070円 | 8,420円 |
250円 | 10,580円 | 11,250円 | 8,420円 | 8,780円 |
定期券の発売額改定(2021年6月1日) 上記以外の区間、通用期間は省略
通勤定期券の割引率は26.5%から25.0%に変更し、通学(学生)定期券の割引率は41.5%のまま据え置く。また、定期券発売額を計算するための基準運賃を、原則として2019年10月改定の現行運賃と同額にする。(奈良均一、平城均一区間の通学定期券の基準運賃は210円。)
2019年の運賃改定では190円区間を除いて運賃を引き上げたが、定期券発売額の基準運賃は引き上げず、定期券発売額を据え置いていた。今回の改定では基準運賃を引き上げるため、割引率の変動を超えて定期券の発売額が引き上げられ、割引率を据え置く通学(学生)定期券の発売額も引き上げられる(190円区間は据え置き)。
回数券
紙で発行している回数券のうち、普通、ひまわり、高額の各金券式回数券の発売を終了する。発売済みの回数券は引き続き利用できる。
イオンモール橿原、大学など区間指定の回数券は、引き続き発売する。
案内所の臨時営業(5/29~31)
CI-CA利用可能金額と定期券発売額の改定に先立ち、改定日直前の5月29日、30日、31日は、通常休業している案内所も臨時営業する。
関連記事:
消費税率引き上げに伴う路線バス運賃改定(2019年9月17日)
(前回の運賃改定では定期券発売額を据え置いていた)
情報源:奈良交通ホームページ、「奈良交通ICカード乗車券「CIーCA(シーカ)」ご利用可能金額および定期券発売額の改定について」(奈良交通・2021年4月23日)
奈良交通は、12月1日から新田辺駅を発着する路線の一部区間の運賃を改定する。同日に京阪バスが運賃を改定することによるもの。
京田辺市東部循環線と同志社線のうち、現行運賃が200円~210円の新田辺駅周辺の区間が対象で、改定後の運賃は230円となる。
関連記事:新田辺駅発着路線の運賃を改定(2019年3月26日)
(2019年4月にも同様の改定を実施している)
情報源:奈良交通ホームページ、京阪バスホームページ